おとろえ

2004年03月16日

あんまり暇だったので、いっちょスーパーマリオワールドを96ルートコンプリートクリアしたろかい、てな感じでコントローラーを手に取った。これでも小6の頃はね、かなりブイブイ言わしてたもんよ。悪いけど。3つのはてなブロックを順番に叩いて 1UP するボーナスゲームとか死ぬほど得意だったからね。まああれは得意っていうかマント状態でスピンジャンプすればサルでもパーフェクト取れるけどさ。とにかく得意だった。ヨッシーでハナちゃん食いまくり、青ヨッシーで飛びまくり、赤ヨッシーの炎を吐く能力はむしろ邪魔。そして黄色ヨッシーは全く使いこなせなかった。そんな俺が現役マリオプレイヤーに復帰すると聞いて、マリオワールド界はもう騒然。あの悪魔が帰ってくる!? 恐怖に怯えるクッパとその仲間達。だが今更命乞いをしても無駄だ! 正義の光をまとってはためくキノコの旗の下、ヒゲの中年と緑色の生物の無敵タッグが貴様らを成敗してくれる! 気合いも十分にゲームスタート! まずは黄色スイッチを押すべくスタート地点左のステージに挑む俺ことマリオ。そう俺はマリオ。てめーら皆殺しだ! 殺気にまみれた俺の前に現れたのは、何故か甲羅もなしに生まれたままの姿で坂を滑り落ちてくる亀の中身。そうか…貴様が記念すべき犠牲者第一号か! 踏み付け御免! 遙かな青空へ舞い上がるイカロスの如く、糞亀目掛けて飛び上がる俺ことマリ…ややっ!? 画面には何故か、飛び上がることもなく、滑り落ちてきた亀の中身にブチ当たってあっけなく死んでいく俺の姿が。バカな…。まだステージが始まって3秒くらいだぞ!? もしや、10年余りのブランクを経て、俺の腕は信じられないほど鈍ってしまったのか? いやそんなわけはない。ちょっと今は油断しただけ。今一度、勝負だ糞亀! 意気込みも新たにステージスタート。バカの一つ覚えて滑り落ちてくる亀。フハハハ、貴様の戦法などお見通しよ! 自分の愚かさをあの世で嘆くがいい! 今度は見事にジャンプする俺の分身。もらった! 今や、俺の真下で無様に寝そべる亀公の生殺与奪権は、完全に俺の手の中にある! 死ねぇぇぇい! と、ここで想定外の出来事が! 思ったよりも空中での軌道の制御が難しい! うわっ体が言う事を聞かねえ! しまった踏むのに失敗した! 亀の4ドットくらい隣に着地してしまった! ええいこうなったら今一度ジャンプを…などと考えている間に、起きあがった亀がこちらにヨチヨチと歩いてきて、激突して死んだ。えーっ!? ちょっと待ってくれ…もしかして…俺は…ヘタ!? ドヘタ!? 普通こんなところで2回も死なない。やばい…これは実にやばい…! …いや! そうではない! いくら知能の低い亀たちとは言え、この10余年、全くの無為に過ごしてきたというわけではあるまい。やがて訪れるであろう破壊神(俺)の到来に備え、日々自らの鍛錬に励んでいたということであろう…。敵ながらあっぱれ! 道理で強いと思ったぞ! というわけで油断は大敵である。たかが亀の中身と言えど、一人の武人であることを忘れてはならぬ。最早我が慢心は消え去った! 全力を持ってうぬらのお相手を致そうではないか! ステージ、スタート!! 滑り落ちてくる亀! カァーッ! こやつは強敵と判断した。よってジャンプで身をかわし、そのまま前進するが最善! 華麗に宙を舞う我が輩。クックック…滑り落ち戦法打ち破ったり! と、勝利の美酒に酔いながら鮮やかに前進していくと、前方から巨大な大砲の弾が! なんと禍々しい姿であるか! このような大量殺戮兵器の存在を許してはならぬ! 平和の使者たる我が、踏み付けにしてくれるわ! カァーッ! 真っ正面からぶつかって死んだ。もう…俺ダメかな。静かにコントローラーを置いて、自分が、いつの間にか「ゲームの下手なオッサン」になっていた事実を見つめた。人はこうして大人になっていく。ゆめゆめ忘れることなかれ。

Posted by iwakura at 06:12