日記

2003年07月18日

ヤッホーこんにちは。半月前に「7月はテストばっかでマジ怖くて胃にワームホールが開きそうになるくらいストレスたまってやべぇから何とかテストの事とか考えないで乗り切る方法教えてチョ」と必死な形相でメールを募集して以来のご無沙汰ですな。「こうすりゃええんちゃうん」っていうメールは何通か頂けたんすけど、そのほとんどが「勉強しろよ」などのたしなめ、お叱り、アドバイスで占められておって、読めば読むほど「やべー俺本当に勉強しなきゃいけないんだな」などと実感が湧いてきて発狂寸前まで焦る羽目に陥ってしまったのでした。結局、相変わらず大学には行けないわ、テストなどの問題をチャラにするようなミラクルは起きやしないわ、おまけにひでぇ風邪をひくわで散々な7月前期を過ごし、もうなんて言うか核戦争起きるなら今だなって感じですわ。人類、滅ぶなら今。カタストロフ・ナウ! 新婚ホヤホヤ幸せカップルも、就職決まって順風満帆フレッシュメンも、宝くじ当たってウハウハ豪運パパも、薄暗くて臭い部屋で糞みたいなサイトに糞みたいな日記を書いてるお先真っ暗野郎も、ゴキブリも、ナメクジも、ボルボックスも、インフルエンザ菌も、みんなに等しく降り注ぐ死の洗礼。それってすっごいファンタスティックやん? 胸の奥が甘くとろける素敵な奇跡。お星様にこの願い、届くといいナ…。「どいつもこいつも死に腐れ」。

まあそんな感じで痛む喉と止まらない鼻水と共に過ごしてきたこの2週間なわけだけど、俺もただ漫然とコネクト・ワイアードしたり漫画読んだり布団にくるまったりしていたわけではなかった。「このままじゃ、俺、駄目になる」、そう実感した俺。「実際はもう既に駄目になってて手遅れなんだけどな」っていう俺の中のリアリスティック・パートからの声に対しては積極的にシカトを決め込みつつ、「俺は駄目になりそうだけど一念発起して社会復帰する!」と己を鼓舞し、バイト以外では決して外出しなかったそれまでの日々のルーティンを打ち破り、一路大学へとゴーズ・オン。到着。もう二度と大学の土を踏むまいと誓っていた俺だが、やはり己の信念を曲げねばならぬ時もある。恥を忍んでもう一度お前と向き合おうではないか。そうさ、大学よ、俺はお前から逃げない! お前を真正面から抱き留め、そして、暖かく包み込んでやろうではないか…。俺というでっかい器の中で安らかに眠るがいい、大学…。

もう何がなんだか分からないけどとにかく行ったのだ、大学へ。そして1ヶ月ちょいぶりに授業に出席。オーイエー! これが授業! なんてアカデミック! 黒板! チョーク! 教授! 全てが新しい! っていうか教授が「それではもうすぐ終わりですので、今日の課題が出来ている人は提出して退室してください」とか言ってる! えっ!? 何かな? 一体どういう意味なのかな? とか思って時計見たら、なんか授業終了10分前なのな。腰抜けるかと思った。まさかそう来るとはね。時間っていう概念があるとは。ここしばらく未開人レベルの時間感覚で過ごしてきたから、本当に困惑したよ。何て言うのかな、勉強って無限大じゃん。久遠に広がるこの時空であるからして勉強の対象は尽きることを知らず、人が学ぶべき事なんていうのは、矛盾するようだけど人知の及ばないレベルで存在するわけだ。そんなこの世界でね、勉強する時間を区切ろうっていうのは一体どういう事だよと。俺はそう言いたいわけだ。「この授業はあと10分」、どこまで下らない考え方だろうね! もっとファジーに、柔軟に対応する気はないのかよ。具体的に言うと、いつ登校しようが出席を取るくらいの融通をきかせろよ。まあこれはほんの例えだけどさ。例えだけど、それにしても、ラスト10分だかなんだか知らないけどとにかく俺は大学に行ったんだから、それに対して出席点を付与してくれたってバチは当たらないだろう。と。俺はそう言いたいわけ。例えだけどさ。そして更に例えを出すと、大学に来たんだから単位をくれるっていうのもありだと思う。勉強する姿勢を見せたんだからね。世の中ってやる気が大切なんだから、もう大学に来た時点で単位を出すくらいの気持ちでいなきゃ駄目だろ。なあ。分かってんのか。単位くれよ。っていうかもう大学を受験した時点でやる気は十分見せたんだしさ、その上受かったんだからその時点で卒業させてくれたっていいとすら思える。俺の論理で行くとそうなる。一点の穴もない完璧な理屈。オラ糞大学さんよお、俺のこの理屈を打ち破ってみろよ。

学食で一人で飯を食いながらそのような事を考えていると、友人から電話。なんだろう。もしもし。「あのさ、今日の4限ってテストじゃん。」携帯壊れたかな。なんか聞こえるわけないフレーズ聞こえたからな。やっぱ鼻の穴の接写とかを必死にやってたのがまずかったかな…。「もしもし、聞こえてる? 今日ってテストじゃん。」聞こえない。聞こえるわけない。これは何かの幻聴。多分俺の前に座ってメーラン食ってる前時代的オタク(長髪メガネで宅八郎クリソツ)が余りにも気持ち悪いから、俺の脳がパニックに陥ってるだけ。きっとそう。間違いなくそう。でも、「もしかしたら」っていう事があるしね、一応問いただしてみよう。あのさ、今、テストって言った? 「うん。」マジで? 「残念ながらマジ。」よせよ。悪趣味な冗談はよしてくれよ。「悲しいけど、あるんだよ、テス」

力強く携帯のボタンを押して電話を切った。でもこれは電話をするのが嫌だからじゃない、学食の電波が余りにも悪くて会話が続けられないから。だからやむなく、泣く泣く電話を切ったのだ。俺は悪くない。俺は何も悪くない。そう頭の中で反芻しつつ大盛りスパゲッティを口に掻き込むと、飲み込むのを待たずに勢いよく席を立った。そしたら前に座っていた宅八郎が全く同じようなタイミングで立ったので、犯罪者が「誰でもいいから殺したかった」とかよく言うけどそういうの気持ちって本当にあるんだな、と実感した。どいつもこいつも死に腐れ。

我が校でもっとも高い校舎(20階近くあるビル)へハイジャックされた飛行機が特攻する様子などを想像しつつゲーセンに直行。何をどう曲解しようとしても今日テストがあるのは明らかであるようなので、しょうがないからビーマニやら麻雀やらで時間を潰そうという判断。もう今更勉強したってしょうがないしな。せめてテストまでの数時間、胃の痛みから逃れたい。正直に申し上げてテストという単語を聞くだけで吐きそうになるので、ゲームなどに熱中することによってその忌まわしき単語を脳内から追いやり、比較的何も考えないで時間を消し飛ばしたいという思惑があったのだった。そういう切実な理由があるからゲームをやるにも必死。死に物狂いで楽しもうとするその姿は、さながら近所のゲーセンに出没する名物キチガイ。口を開け、画面を凝視し、調子が悪ければ首をかしげ、調子が良ければ小さくガッツポーズ。この日ばかりは、本当に、「あー」とかそういう独り言を言ってしまった。なんかゲーセンで独り言って、越えちゃならない一線だったはずだけど、越えちゃえばなんてことないね。むしろ魂が解放されるかのような感覚。本当は、かなり邪悪な種類の磁場に絡め取られてるんだけどね、魂。

そしてテスト間近の時間となったので先程の電話の友人と合流、テストに直行。かれこれ2ヶ月弱は出てないこのロシア語の授業だけど、こんな僕でも点数取れるかしら…? 単位、貰えるかしら…? テスト用紙を受け取り緊張している俺たちに、教授は言った。「こないだお伝えしたように、辞書の持ち込みは自由ですので、それを参考に解いてください。持ってない人は…頑張ってください(笑)」

それから1時間、俺の睡眠の深さたるや、世間一般に言われる母の愛のそれにも勝るとも劣らぬものであった。俺が疲れていたからそうだったのか、それとも脳のどこかが俺のアイデンティティ崩壊を恐れて変なホルモンを分泌したからそうだったのか、それは分からないが、とにかく、3日連続で徹夜した人もまっつぁおの爆睡ぶりであったのだ。そして、テスト時間や、それ以外の何かの終わりを告げるチャイムが鳴り響いたので、俺の名前と学籍番号のみが必要以上に丁寧に書かれた答案用紙を提出し、足早に教室から立ち去った。それから家に帰って布団に潜り込むまでの1時間弱、俺の心を支配していた絶望は、テスト時間の眠りよりも、母の愛よりも、幾倍も深いものであったという。

Posted by iwakura at 08:10