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2003年05月19日

昨日は超インドア系アウトドアイベント、マンガ回し読み大会に参加して参りました。

当日は朝から生憎の曇り空、爽快な五月晴れとは相成りませんでしたが、インターネットを介して集まった大人連中が大空の下で黙々と漫画を回し読みし続けるという、ある種の前衛アートを思わせるような非日常的光景が、日曜の代々木公園にて白昼堂々と展開されるという状況にはたまらぬ魅力を感じてやみませんでしたので、張り切って参加して参りました。

まあ「張り切って」という部分には若干の誤謬がございまして、実際は朝の11時に主催の相沢から「早く来い」的な電話で叩き起こされて眠い目をこすりながらダラダラと向かったのでございます。しかしそんなかったるそうな事を申しても何かと感じが悪うございますから、「前向きな気持ちで参加したんだぞといった気配を文章のそこかしこに忍ばせておくことにしますれば万事滞りありますまい」、という意図のもと、「張り切って」などと、真実ならざる言い回しを用いてしまった次第でございます。神聖なるオフ・レポ (OFFLINE-MEETING-REPORT) において、このように我が身可愛さからの詐言を記してしまった事を深く謝罪すると共に、これからのオフ・レポ (OFFLINE-MEETING-REPORT) には一切の詐術を用いず、ありのままの真実のみを記す事をここに誓います。

さて、50冊近い漫画を2つの袋にパンパンに詰めヨタヨタと歩くみすぼらしい糞オタク野郎(要するに私)は、電話を受け取ってから丁度1時間後、つまり正午きっかりに、洒脱でモダンな若者の街・原宿に辿り着きました。何時の方角を見渡しても、目に映るのは自信に満ちたファッションと足取りでこのソフィスティケイテッドな街を闊歩する若者の皆様ばかり。それに比べ、私と来たらまるで家を失った日雇い労働者のような格好をしているばかりか、両手には漫画が大量に詰まった袋まで携えていて、まるで艶やかに羽ばたく蝶の群れに入り交じった一匹の蠅のよう。一歩、また一歩と歩みを進めるごとに、私のみすぼらしいプライドが、ぎい、ぎい、と、金具の錆びたドアのような音を立て軋みます。

私は一体何をしているんだ。一刻も早くこの場から逃げ去りたい。家に帰り、電脳空間に閉じこもってアイデンティティを守りたい。熱くしたガラスをいきなり冷水に浸したら割れてしまうように、私の自我も今、この周囲との外見的、及び内面的な温度差から、瓦解の危機に瀕しているのです。しかし折角苦労してここまで参ったのです、このままきびすを返すのは実に勿体ないし、他の参加者様が持っていらした漫画を是非とも拝見させて頂きたいという気持ちもあります。それに一旦集まりに合流しさえすれば、集団心理の力学に基づき、「これだけ仲間がいればもう恥ずかしくない」という一種の悟り、と言うか開き直りを得られるはずなのです。ならば、一握りの勇気を以てしていざ行かん代々木公園! 改札を抜ければ、目的地はすぐそこです。

(続く)

Posted by iwakura at 23:23