ニカイドウ

2003年04月15日

昨晩僕がセルフてるてる坊主に踏み切れなかったばっかりに、今日の東京は生憎の雨。本来ならば全身全霊をかけて引きこもるところだが、昨日のやる気の残りカスが「行けば〜」みたいな適当な後押しをしてくるので、なんかその言葉に流されて適当な気分で今日も一限から出席してみたんだけれど、一限の教室がどこにあるのか分からなかったのですごい焦った。見た事もない教室番号だった。つうか、このゴミ大学に通い始めて今年で4年目だというのに、未だに場所の分からない教室があるという事実の方が焦る。やばいね。

そういえば学生証の問題もかなりやばい領域に差し掛かっていたのだった。うちの大学は年度の始めに健康診断があって、全生徒はそれを受ける事が義務づけられているのだけれど、何を考えてるんだか知らないがあの大学の野郎と来たら「健康診断受けない奴には新しい学生証発行しないよ」などと抜かしやがっている。このクソ馬鹿、俺が病気に見えるか。変な伝染病にかかってると思うか。確かに見た目はやばいよ、「いくらなんでもこりゃ近づいたら不細工が伝染るんじゃないか」ってくらいやばい、それは認める。でもこれ伝染病じゃないから! 誰にも危害は及ぼさないから! ちょっとカメムシみたいな臭いがするけど、それさえ我慢すれば案外便利だよ、上納金納めるし靴もペロペロ舐めるよ。だからいいじゃねえかよ健康診断如き。見逃せよ。黙って学生証渡せばいいんだよ。定期買いてーんだよ。往復で600円もかかんだぞこの野郎。どうしてくれんだ。ええコラ、落とし前付けろや。

そういった憤怒・憎悪を丹田の辺りに溜め込み、休み時間、鬼をも殺さんばかりの勢いで学生課に殴り込み。「あのう、すいません、健康診断のほうをですね、あの、受け忘れちゃったんですけれど、学生証の発行というのはして頂けないんでしょうか…?」受付のオバハンはそれに対し「NO」という意味合いの日本語を返し、更に「お前みたいなゴミ学生がいると臭くてかなわんから、とっとと保健室行け」というようなニュアンスの漂うコメントを付け加え、とっとと奥の方に引っ込んだのだった。ファック! 「分かりました、すいませんでした。」

どうやらさっきのババアは俺の怒気に押されて言葉を濁したまま逃げてしまったようだが、次の保健室ではそうはいかない。答え方次第では血祭りだ、いいな。今の俺はさながら血に飢えたライオン、この渇きが癒えるまで、殺戮の宴は続いてゆくのだ。フハハ! ガチャリ。お、なんだよなんだよ、体重計とか色々あんじゃん。ひょっとしてここで健康診断してくれんじゃねえの? っつーか身長測ってるにいちゃんとかいるし決定的。やべーもらった。学生証完璧ゲット。ここまでくると、わざわざ健康診断のためだけに大学に行くなんて愚行を冒さなかった自分の先見性が怖くすらあるね。天才的。どうせ暇な休み時間、こうやって有効に活用するのが賢いやり方ってワケ。諸君も見習い給え。む、あそこにいるかなり器量の低いオバハンが係員であるな。きちんと職務にいそしんでおる。関心関心。さてそれでは、朕の健康診断を始めてもらうとするかの…。

「ええと、すいません、健康診断休んじゃったんですけど、ここでして頂けるんですよね?」
「しません。」
朕の城、崩壊じゃーっ! 何たる不覚、何たる屈辱…! これ女! そのような無礼な口を叩いてただで済むと…「もう病院で健康診断受けてもらうしかないから、用紙をあげるからそれに書き込んでもらってきて。あ、一応大学で病院の紹介もするけどどう? 通常よりは安くなるしね、とは言っても3000円はかかるけど(笑)」テメエ人の心の声を掻き消すばかりか、何をとんでもねえ事言ってやがんだ! たかが健康診断で3000円ってどういう了見だよ! 身長と体重測って、聴力テストして、尿検査して、レントゲンとって、それで問診するだけ。どこに3000円もかかる余地があんだよ。大概にしろ。もうダメだ、俺は破産だ。このまま健康診断で破産する運命なのだ…「早くしないと色々困るでしょ、急いだ方がいいわよー」「そうですね。ありがとうございました。」

どうやら病院という機関は、俺が思っているより遙かに悪辣非道なやり口で、罪もない市民からの搾取を行っているらしい。真に許すまじきは病院であったか。そうと分かればじっとしていられない、丁度今日は昼休みの後のコマが空いている事だし、いっちょ病院に乗り込んで健康診断、ではなかった、暴利をむさぼる悪鬼の退治と洒落込もうではないか。健康診断の紙などは、医者を脅して書かせればいいのだ。よしよし、これは名案だ。世のため人のため、そして俺のためにもなる。完璧すぎるプラン。蟻の子一匹通す隙間もないぜ。

というわけで昼休みが始まるや否や病院へレッツラゴン。たのもーッ! と行きたいところだが、いきなり喧嘩腰で行って警戒されては元も子もない。ここは一つ哀れな子羊の皮をかぶり、敵を油断させる事にしよう。「すいません、大学の健康診断が受けられなかったので、こちらで代わりに健康診断を受けさせて頂きたいのですが…」「はあ、それじゃあ大学の用紙はお持ちですね?」「あ、は、はい。これです。」「なるほど…、ああ、こちらの検査ですとね、聴力とかそういうのもやるみたいですが、それだと6000円くらいかかってしまうんですよねえ…」「えーっ!? 6000円!?」

ウンコ漏れるかと思った。

「あのですね、大学では3000円とうかがって来たんですけれど…」
「いえ、この内容ですと、6000円はかかるんですよ。」
嘘つくなてめえ、何をどうしたら6000円かかるんだよ。どうせアレだろ、俺の尿が入ったコップに触るのが嫌だから、迷惑料として4000円くらい上乗せしてるんだろ。気持ちは分かるけどそんな事したらアカン。そないアコギな真似したらアカン。アラブの石油王でもそんな暴利じゃブチ切れるよ。マジで。俺の器があと1周り小さかったら、今頃もの凄い切れ味のローリングソバットがお前のその無駄に長いアゴを砕いているところ。許せねえ!

「そうなんですか…じゃあ6000円でお願いします」

というわけで待合室で待たされる事になった。いや、これはもちろん作戦であって、これから健康診断に乗じて次から次へ看護婦や医者をブチ殺していく予定。断じて「もう揉めるの面倒だし他の病院行くのも面倒だし次の授業もあるし、とっとと終わらせて戻ろう」などという腐った妥協からのものではないので、誤解しないで欲しい。これは遠大なる計画の序章に過ぎぬのだ…。

で、あとはひたすら呼ばれるのを待つわけなのだが、これがびっくりするほど呼ばれない。尋常じゃないくらい呼ばれない。たかが健康診断で30分も40分も待たせるんじゃねーよ。あんなのパッとやってパッと結果出て終わりだろうが。6000円が確保できたら放置なのか? マジふざけんなぜってー殺す、100パー殺しまくる。あと1時間くらいしか残り時間ないし、やべーんだよこっちは。とっととしろよ。

などと憤っていたら紙コップが渡されて、それに小便を注ぎ込めなどという屈辱的な指令を受けた。仕方がないので従ったらこれがまたびっくりするほど黄色い。なんの健康ドリンクだよって次元で黄色い。正直焦った。水で薄めようかと思った。でもバレそうで怖かったし変な反応出て病気と診断されるのも嫌だったのでそのまま提出。マジ恥ずかしい。どういう食生活送ってるんだあのデブ、とか陰口叩かれたらどうしよう。

自分の尿の色にうちのめされた俺をあざ笑うかのように時間は過ぎていく。尿検査以来、またぱったりと名前が呼ばれなくなった。一体何なんだ。全て計算のうちか。俺を辱めようという忌まわしい計略なのか。畜生、畜生、畜生、みんなで俺を笑いやがって…。と悔し涙を浮かべつつ時計を見たら、次の授業が始まる30分前になっていた。もうダメ〜。間に合わない〜。今結果が出てダッシュで帰れるのならまだしも、まだ検査が一つしか終わっていない。ああうあうああうああうあうあうあうううあ。絶望。

ところが、俺のワクワクお勉強プランが音を立てて崩れたその時から、いきなりすごい勢いで呼ばれ始めるマイネーム。もう絶対仕組まれてる。なんでこんな急にスムーズになんだよ。おかしいだろ。狙ってるだろ。ちょっと俺の知能が平均の半分以下っぽいからって、やっていい事と悪い事が…あ、はい次はレントゲンですね。はいはい。次は聴力と視力。かしこまりました。身長と体重ですか? おやすい御用です。で、問診ね。了解了解。そんじゃ次は何をすれば…え、終わりですか。はい。そうですか。じゃあこれ、6000円。ありがとうございました。

ふと時計を見ると、もう授業の始まる時間。あらら…早くもやっちゃいました。今期、初サボりでございます。もうこれからは怒濤の勢いでサボるのは明らか、没落の道が見えて参りました。大量の単位の可能性・6000円・やる気と引き替えに健康診断書を手にした俺、そのまま大学にも寄らずにゴー・ホーム。いよいよ来るか無気力ウェーブ。絶望地獄破滅自殺、浮かんでは消えるネガティブワードと共に今日はひとまず夢の中へ。このまま永遠に眠れたらいいな、おやすみ。

Posted by iwakura at 23:41