まず関東で起きた大地震について陳謝したい。明らかに俺の「オフ喜利本番を迎えたくない」という一念が引き起こした災害だった。天災を装った人災だった。あれで会場が見事に崩壊したりすればまだ良かったのだけれど、イマイチ気の練りが足りなかったせいか、大被害には至らなかった割に、電車が数時間に渡って止まるという、地味にリアルでキツイ効果をもたらしてしまった。しかも地震が起きたのがオフ喜利本番の3時間ほど前。本番は問題なく行なえるが、電車が止まっているためにお客さんが会場へ来られないという、最悪としか言いようのない展開となってしまった。本当に申し訳ない。俺が「でもちょっと出たいしな」みたいな邪念を吹き飛ばし、心の底から「オフ喜利よ…中止になれ!!」と念じていれば、首都圏が完璧に廃墟と化すような地震を起こせていたに違いない。マグニチュード9億くらいは来たはず。本当に惜しいことをした。かえすがえすも悔やまれる。
さてオフ喜利本編だが、交通機関のマヒぶりにも関わらず、開場から40分ほどで50人前後のお客さんが来てくれていた。とは言っても席の消化率で言えば5割程度で、少々寂しい感は否めない。その上、なんと出演者の一人、藤崎さんが地震の影響で遅刻とのこと。これはやばい。関係者全員に見事すぎるほどの焦りの色が見え始めた。どうしよう。どうしようもない。お客さんもなかなか増えないし…このイベントは一体…どうなるんだ…。みるみる青ざめていく出演者たちの前で、時の流れは残酷だった。気持ちの整理のつかないまま本番の時刻が訪れた。わけのわからないまま舞台に立ち、自己紹介などでもろくすっぽ喋れず、司会者の無駄にドでかい声での進行だけが鳴り響く滑り出し。これはひどい。俺が客なら「見てるこっちの胃がキリキリする」とか言ってる。早速大喜利が始まったが、初めの数解答は会場の空気と回答者のノリがまるで一致せず、愛想笑い程度の反応しか得られなかった。これはやばい。死にたい。今すぐここから逃げ出したい。だが出ると言った以上は責任を持って盛り上げないといけない。早く面白い解答を言わなくては…。恐らく出演者は全員、そう考えていただろう。だが、焦れば焦るほど頭が真っ白になり、何も書けなくなっていく。お題の1問目から連続スベリというのは非常事態だ。イベント自体の失敗が濃厚に臭ってくる。やっぱり大地震を起こしておくべきだった。寝坊しておくべきだった…。後悔の念ばかりが湧いてくる。が、そこへ、出演者の一人、ゴトウさんが中ヒットを繰り出した。「お題:ドラえもんの力を借りないと何もできないと思われがちなのび太君。彼が唯一、自分の力だけでできることとは?」「処女当て」。くだらなすぎる。できてもしょうがない。ドラえもんがいなくなったらあいつは処女を当てることしかできないのか。しかも披露したら完璧にセクハラ。封印するしかない。
本番開始から、この解答が登場するまでに要した時間は、実に2分程度のものだったが、はっきり言おう。それ以降の、オフ喜利が終了するまでの3時間半と、この初めの2分、どっちが長かったかと言えば、初めの2分だ。これは冗談ではない。本気で言っている。初めの2分に比べれば、そこから先なんて一瞬と言っても良かった。ゴトウさんの中ヒットを皮切りに、会場のテンションは徐々にヒートアップし、解答速度はみるみる加速していった。それくらい、あの解答に、会場全体が救われたのだ。空気が和らいだのだ。少々の休憩を挟んでの2部では藤崎さんも加わり、はじめのお通夜のような雰囲気が嘘のような盛り上がりに。気がついたらお客さんも100人くらい入っていて、地震の影響を感じさせない盛況。凄かった。本当に凄かった。普段は色々なものをバカにしてる俺だけど、あの時ばかりは素直に凄い空間だと思ったのだ。いい雰囲気だった。来てくれた皆さんありがとう。拍手やストンピング、笑い声に大変勇気づけられました。
しかし一言だけ言っておきたいことがあるので聞いて欲しい。オフ喜利には差し入れ制度というものが導入されており、お客さんは出演者に飲み物や食べ物を差し入れることが出来る。ちょっとしたオヒネリのようなものだが、全7名の出演者中、ただ一人、俺だけが最後まで差し入れをもらえなかった。こんな理不尽なことはない。俺の人望はそこまでないのか。隣にいた館長さんは米や肉野菜炒めまで差し入れしてもらっていた。チョリ蔵さんはチョコレートをもらっていた。ゴトウさんはカレーを…164さんはコーラを何杯も…。そんな中、一人悲しく、自分で注文したカシスオレンジをがぶ飲みしていた俺の気持ちがお前らに分かるか。そんなに…俺がつまらなかったというのか!? いや! それには答えなくていい! だがしかし…前々から自分には魅力がないとは思っていたけれど…いくらなんでもここまでとは…。「オフ喜利見ましたよ」というようなメールも一通も来ず、もしや自分のサイトからはただの一人も見に来ていなかったのではないかとすら思ってしまった。もうこうなったら、うちのサイトを見てる人は全員ニートだと思うことにする。それならオフ喜利に来なかったのもしょうがない。俺に差し入れがなかったのも頷ける話だ。そうやって自分を誤魔化していかなければ、余りにも現実は辛すぎる。
そういえば辛い現実がもう一つあった。オフ喜利における俺の順位だ。正直なところ、不遜を承知で言わせてもらえば、俺的にはかなりの手応えがあった。高い打率だったと自惚れていた。全てのお題を終え、司会者から「今回の感想を」と尋ねられたとき、やり遂げた気分で一杯だった俺は「まあ審査員の目が曇っていなければ1位か2位ですね」というようなたわごとをほざいてしまったわけだが、実際の順位発表を聞いて絶叫。4位だった。4位。7人中、4位。ど真ん中。「まあ審査員の目が曇っていなければ1位か2位ですね」→4位。これがどれだけ惨めなことか、分からない人間はおるまい。ダサい。ダサすぎる。冷静に考えたら、苦手な「写真で一言」において静観を決め込んでいた俺が1位や2位になれるわけがなかったのだ。1時間遅刻というハンデのあった藤崎さんに負けているというのは本当に情けない。完敗と言う以外になかった。せめてもの救いは、接戦だったらしいということのみだが、自信があっただけに相当へこたれた。終了後のアンケートを見ると、「岩倉はもっと弾数を増やせ」というお叱りを賜っていた。申し訳ない。次は頑張ります。次は…。次は!? 次も出る気!? まあ正直出たい。リベンジさせてくれ。
確実に次回があると思うので、今回オフ喜利に来なかった人にアピールしておくと、出演者が懲りずにまた出たいと思えるほど盛り上がった楽しいイベントだったので、次回は是非とも来て欲しい。匿名アンケートでも、イベント自体をクソミソに言ってるものはなかったので、満足度は低くなかったのではないかなあと前向きに思いこんでいる。第1回だったのでまだまだ改善点はいくらでも見付けられるけれども、大成功と言っていいと思う。あと今回、地震の影響などで、前売りチケットを手に入れたけど来るのをやめてしまった、という人は、次回何らかの優遇処置があるはずなので、チケットを大切に保管しておいて欲しい。というわけでレポート終わり。