ドクデスレポートを、２時間くらいかけて、おしっこが漏れそうなのも我慢して、物凄い勢いで貧乏揺すりしながら切りのいいところまで書き上げ、今年一番のダッシュでトイレを済ませ、戻ってきて、さーてと！ 続き書くか！ なんて気合いを入れ、キーボードの前に座り直し、マウスを操ったら、書いてた文章を、何故か、保存もせずに、閉じた。全ての文章が、露と消えた。
一体、今までの人生で俺は何をしてきたのだろう。小、中、高、とんとん拍子に卒業して、まあ、一応、不格好ながらも大学に入学できた。バイトもやった。恋愛もした。膨大な時間をインターネットに費やした。嬉しい事も、悲しい事も、楽しい事も、辛い事も、体験した。いつの事でしょう、思い出してごらん、あんな事、こんな事、あったでしょう。あったあった。溢るる思ひ出。ぽろぽろ。そういった様々な経験の集積、２２年間の結晶そのものであるはずの、この俺が、たかだかトイレに行った程度で、己の２時間にも及ぶ努力の成果を、あろう事か完膚無きまでに抹消せしめてしまったという事は、それ即ち、今までの経験が全く身になっていない、知能がこれっぽっちも発達していない、シナプスが微塵も繋がっていない、という事であって、自分のこれまでの人生の無意味さ、空虚さ、馬鹿馬鹿しさを痛感せずにはいられない。まさか、高々オフレポで我が半生に絶望する羽目になろうとは、夢にも思わなかった。いいか、お前らも、油断してるとこうだぞ。いつでも、断崖絶壁は絶景と共に訪れる。景色に目を奪われていたら、お釈迦だぜ。気を付けな。